この羽根の持ち主は…
令和3年1月中旬の事です。
私の職場の軒先では、雪の積もる時期にはシロハラなどが餌を探しにやってきます。
わずかに露出している地面を活用しているのでしょう。
命を繋ぐために、野生動物は一生懸命に生きています。
そんな地面に鳥の羽根が落ちていました。
よく見ると、近くの雪の上に動物の足跡があります。
足跡に詳しくはないのですが、ウサギの足跡とは明らかに違いました。
周囲を確認すると、外階段の裏手にたくさんの羽根が散乱しています。
大人がしゃがんで入るのがやっとの空間で、おそらく野鳥が襲われたのだと思います。
幸い(?)、血や肉などは散乱しておらず、大量の羽根だけでした。
勝手に被害者の推理を始めてみました。
遺留品です(十円硬貨は大きさの目安です)。
①比較的大きな羽根も混じっており、色は全体的に黒~褐色です。
②長い羽の一部には白い部分もあります。
③先端の一部に茶色を帯びた羽根もあります。
④体羽は全体的に白っぽく、細かい羽糸が多く、羽柄が短いです。
上記の特徴の中で、④に見覚えがありました。
昨年、アオバトの体羽を拾ったことがあり、④の特徴ととても似ていました。
ハト類で、③の特徴にも当てはまりそうな種はキジバトです。
帰宅後、『原寸大写真図鑑 羽』で確認したところ、①~④に合致するのはキジバトでした。
それぞれ、部位は以下の通りになります。
①初列風切
②最外尾羽
③肩羽
④腹(体羽)
参考までに載せた写真のキジバトは過去のものです。
犯人も推理してみます。
猛禽類やカラスなどは鳥を襲いますが、階段裏の狭い空間で羽根を毟る事に違和感を感じます。
そこでは飛び立とうとしても、壁や階段にぶつかってしまうからです。
雪に残った足跡から、何らかの肉食哺乳類が来ていたことは確かです。
職場には裏山があり、以前ノウサギやイタチを見かけたことがあります。
被疑者として、イタチ、テン、ハクビシン、タヌキ、ネコ等が挙げられます。
ただ、以前に読んだ書籍には、肉食哺乳類の場合は散乱した羽根が折れたり傷ついていることが多いとありました。
今回は比較的綺麗な羽根ばかりでしたので、本当は猛禽類やカラスの仕業なのかもしれません。
食べ残しを探しに、臭いを頼りに肉食哺乳類が来たのかもしれません。
結局、犯人はわからないままでした。
何枚か失敬して、コレクションにする事にしました。
職場の休み時間にコソコソと拾いましたが、傍目には不審人物です。
いつか整理して、分かる範囲内で標本の様に並べてみたいと密かに計画しています。
3月下旬に入った頃、再びその場所を訪れましたが、羽根はほぼ無くなっていました。
虫に喰われたのか、小鳥が巣材として持ち去ったのだと思います。
そんな状況からも、命の循環を感じられます。
※注意
落ちている羽根には様々なゴミ・雑菌(鳥インフルエンザetc.)・寄生虫(ダニetc.)が付着している可能性が高いです。ここで紹介した羽根については、所持していたビニール袋などを用いて直接触れる事が少なくなるよう配慮し、帰宅後は以下の処理をしています。
①微温湯でゆすいで汚れを落とす
②中性洗剤(洗濯用洗剤)に1日以上浸した後に洗う
③ドライヤーで乾燥させる
④1日以上自然乾燥させる
また、拾った羽根がトキ等の「国内希少野生動植物種」にあたる場合、拾う事は禁止されていませんが、販売や譲渡などは「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」により禁止され、罰則も定められているそうです。
羽根を拾って楽しむ場合は、以上の点にご注意ください。
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